コラム一覧へ戻る

CPAP治療

CPAPマスクの種類と選び方|空気漏れ・跡・目への漏れ対策

久井 宏真

2026/9/7

CPAPマスクは、顔の形、鼻の通り、睡眠中の口の開き、寝る姿勢などに合わせて選びます。空気漏れや痛みがある場合は、ベルトを強く締めるだけでなく、サイズ・装着位置・マスクの種類を見直すことが大切です。 同じ種類でも、製品によって形や当たり方が異なります。

また、マスクから出る空気には、呼吸のために必要な排気と、顔との隙間などから漏れる空気があります。風が出る場所をすべて塞いでよいわけではありません。 呼気を排出する穴は、絶対に塞がないでください。

この記事では、成人の睡眠時無呼吸に対するCPAP治療について、マスクの選び方と、空気漏れ・皮膚・目のトラブルへの対応を解説します。

CPAPマスクには、どのような種類がある?

大きく分けると、鼻から空気を送るタイプと、鼻・口の両方を覆うタイプがあります。 鼻用の中にも、鼻を覆うもの、鼻の穴の入口に当てるもの、鼻の下を支えるものがあります。

種類

装着する場所・特徴

選ぶときの確認点

鼻マスク:鼻を覆うタイプ

鼻全体をクッションで覆う

鼻筋への当たり方、顔との密着、口からの空気漏れ

鼻ピローマスク

小さなクッションを鼻の穴の入口に当てる

鼻の入口の痛み、クッションのサイズ、口からの空気漏れ

鼻下型の鼻マスク

鼻の下をクッションで支え、鼻筋を覆わない

鼻の下への当たり方、寝返りでのずれ

フルフェイスマスク

鼻と口を覆う

顔との密着、口を動かしたときのずれ、圧迫感

鼻ピローなど、顔を覆う面積が小さいタイプは、視界を保ちたい方や、顔を広く覆われることが苦手な方の選択肢になります。ただし、小さいマスクが全員に最適というわけではありません。 鼻の入口への刺激など、その形ならではの問題も確認します。

フルフェイスマスクにも、鼻筋まで覆うものと、鼻の下から口を覆うコンパクトな形があります。「フルフェイス」という名前だけで、顔への当たり方がすべて同じとは考えないようにしましょう。

鼻マスクとフルフェイスは、どちらがよい?

口の開きだけで自動的に決めず、鼻の通りや治療効果、実際の使いやすさを合わせて選びます。

米国胸部学会の報告では、多くの患者で、鼻から送気するマスクを最初の選択肢として検討しています。睡眠中に口呼吸をしているという情報だけで、必ずフルフェイスにしなければならないわけではありません。

一方、鼻で呼吸しにくい場合や、鼻マスクで口からの漏れを十分に対処できない場合には、フルフェイスが役立つことがあります。鼻や口の状態に合うマスクを選ぶのであって、大きい方が上位の治療ということではありません。

フルフェイスへの変更によって、必要な圧や残る無呼吸、空気漏れが変わる人もいます。変更後は、装着感だけでなく、機器のデータも確認することが大切です。

顔が大きければ、大きいサイズを選ぶ?

身長・体重や性別だけで、マスクのサイズは決まりません。 顔の接触部分に合うかを確認します。また、別の製品に替えると、同じ「Mサイズ」でも形や寸法が同じとは限りません。

「今までMだったから、次もM」と決めるのではなく、使用する製品のサイズガイドや、実際の密着を確認してください。

マスクから風が出るのは、すべて空気漏れ?

呼吸のために必要な排気と、調整が必要な漏れを区別します。

一般的なCPAPマスクには、吐いた息を外へ出すための排気口があります。機器の作動中に、決められた穴から風が出ること自体は、故障とは限りません。音や風が気になっても、排気口をテープや布で塞がないでください。 吐いた息を適切に排出できなくなるおそれがあります。

一方、顔とクッションの隙間や、鼻マスク使用中の口などから意図せず空気が逃げることは、調整の対象になります。大きな漏れは、不快感や治療の継続、呼吸を支える効果に影響する場合があります。

「どこから風が出ているか分からない」場合は、マスクの説明書で排気口の場所を確認するか、機器の相談窓口に問い合わせてください。

空気漏れがあるときは、何から見直す?

まず、組み立て・装着位置・寝る姿勢・部品の状態を確認します。最初から強く締め付けることを、唯一の対策にしないでください。 組み立ての誤りや部品の消耗でも、漏れが起こる場合があります。

実際に眠る姿勢で、機器を作動させて確認する

座ったまま合わせるだけでなく、横になり、空気が流れている状態で密着を確認します。 そのうえで、いつも寝る向きに顔を動かし、マスクがずれないかを見ます。

ベルトは、製品の説明に従って左右のバランスを整えます。顔に押し付ける力を増やし続けるのではなく、クッションが正しい位置に収まるよう調整してください。

「きつくしないと漏れる」は、サイズや形を見直すサイン

痛くなるほど締めないと漏れが止まらない場合は、マスクが合っていない可能性があります。 締め付けすぎによって、顔に痛みや赤い跡が残ることもあります。

クッションの位置やベルトを調整しても改善しなければ、別のサイズや種類を相談してください。最初に渡されたマスクだけで、CPAP全体が自分に合わないと決める必要はありません。

急に漏れ始めたら、部品も確認する

以前は問題なく使えていたのに漏れが増えた場合は、クッションの汚れ・変形・亀裂、ベルトの伸び、部品の組み付けなども確認します。消耗した部品を、締め付けだけで補い続けないことが大切です。

洗った後から漏れる場合は、部品が正しい向きで取り付けられているかも確認してください。

空気が目に当たる・朝に目が乾く場合は?

マスクの上側などから漏れた空気が目に当たると、乾燥や刺激の原因になることがあります。 鼻筋周辺の密着や、横になったときのずれを確認してください。

同じ場所から漏れ続ける場合は、サイズの変更や、鼻筋に接触しない形のマスクなどを相談する方法があります。鼻下型のマスクは鼻筋を覆わない設計ですが、形を変えれば必ずすべての漏れがなくなるという意味ではありません。

目薬で不快感が軽くなっても、風が当たり続けている場合は、マスク側の問題も見直します。目の症状が続くときは、CPAPの担当医に加えて、眼科への相談も考えてください。

目の痛みや強い充血、見えにくさ、まぶしさがある場合は、単なる乾燥と決めつけず、速やかに眼科などで評価を受けてください。 次のCPAP定期診察まで我慢する症状ではありません。

顔に跡が残る・鼻筋が赤くなる場合は?

まず、ベルトの締め付けと、クッションが当たる場所を確認します。 一時的な圧迫の跡と、痛みや皮膚の傷を伴う状態は、分けて考えてください。マスクの圧迫や摩擦、汚れなどで、皮膚に炎症が起こる場合があります。

痛みが続く、赤みが引かない、皮膚がむける・傷になる場合は、そのまま押し付けて使い続けず、医療機関へ相談してください。

対策として、ベルトの調整、クッションやマスクの種類の変更、適合する保護パッドの使用などを検討できる場合があります。鼻筋が当たって痛い場合には、その部分を覆わないマスクが候補になることもあります。

保護パッドを挟めば、解決する?

皮膚を保護する補助になる場合はありますが、合わないサイズや強い締め付けを、そのままにしてよいわけではありません。 製品に適した保護材か、装着時の密着が保たれるかも確認します。

また、顔に接する部分の汚れも確認してください。皮脂や化粧品などがクッションに残ると、密着や皮膚の状態に影響する場合があります。

目指すのは「痛くても漏れない状態」ではなく、皮膚を傷つけずに必要な密着を保つことです。

鼻マスクで、口から空気が漏れる場合は?

顔との隙間から漏れている場合と、口から空気が抜けている場合では、対策が異なります。 鼻マスクで口が開くと、口から空気が逃げ、乾燥などの不快感につながることがあります。

口の漏れが疑われる場合は、鼻づまりの有無、加湿、マスクの種類などを確認します。状況に応じて、口の開きを抑える補助具やフルフェイスマスクを検討する場合もあります。

ただし、口が乾くことだけで原因が確定するわけではありません。 「朝だけ乾く」「鼻が詰まって口を開けてしまう」「家族から口から風が出ていると言われる」など、分かる範囲で伝えてください。

口からの漏れに対し、鼻マスクのベルトをさらに締めても、問題の場所が違えば解決にはつながりません。どこから漏れているかを確認することが先です。

横向き寝や寝返りで、マスクがずれるときは?

枕がマスクを押していないか、チューブに引っ張られていないかを確認します。 寝返りのたびにずれる場合は、マスクだけでなく、枕との接触やチューブの取り回しを見直すことも役立ちます。

チューブに適度な余裕を持たせる、必要に応じて専用のホルダーやマスクが当たりにくい枕を検討するなどの方法があります。特定の寝具を必ず購入するという意味ではなく、まず、何がマスクを押したり引いたりしているかを確認してください。

マスクには、チューブを顔の前ではなく頭頂部につなぐ設計もあります。寝る姿勢や動きに合うかは個人差があるため、接続位置だけで決めず、実際に横になった状態で使いやすさを確認します。

マスクやクッションは、いつ交換する?

部品の消耗で、以前のように密着しなくなることがあります。 クッションの変形・亀裂、ベルトの伸び、固定部分の不具合などがあれば、機器の供給会社や医療機関に相談してください。

交換時期は、製品や部品、使用状況によって異なります。ほかの人の交換日数だけで判断せず、使用している製品の説明と、供給会社の案内を確認しましょう。マスク全体ではなく、クッションやベルトなど一部の部品の交換で対応できる場合もあります。

洗い方は、すべてのマスクで同じ?

素材によって手入れの方法が異なります。 水洗いするシリコーン製のクッションがある一方で、フォーム素材のクッションには、水で濡らさずに手入れする製品もあります。

「CPAPマスクだから全部同じ洗い方」と考えず、部品ごとの説明に従ってください。変形や劣化があるものを、強く洗ったり熱を加えたりして元に戻そうとしないことが大切です。

マグネット付きのマスクで、注意することは?

留め具に磁石を使うマスクでは、本人や近くで接する方の医療機器・インプラントを確認する必要があります。

一部のマグネット式マスクは、ペースメーカーや植込み型除細動器など、磁石の影響を受ける機器がある場合に使用できません。対象はCPAPを使う本人だけでなく、近距離で接するご家族やベッドパートナーにも及ぶ場合があります。

使用できない条件に該当する場合は、「少し離せば大丈夫」と自己判断せず、対象のマスクを使用せずに、磁石のないものへの変更を速やかに相談してください。どの機器・インプラントが対象かは、マスクの説明書と担当医に確認します。

これは、ペースメーカーがある人はCPAP治療そのものができない、という意味ではありません。 使用するマスクの安全性と、CPAP治療をどう継続するかを分けて確認します。

リークの数字がよければ、マスクは合っている?

機器のリーク表示だけで、装着感や皮膚・目の状態まで問題ないとは判断できません。 リークの定義や表示方法はメーカーによって異なり、数字だけを他機種と比較することにも注意が必要です。

機器のデータでは使用時間や呼吸の状態を確認できますが、「鼻筋が痛い」「少量の風が目に当たる」といった困りごとは、本人から伝える必要があります。データの確認と、実際の不快感への対応は両方重要です。

相談するときは、何を伝えればよい?

マスクの製品名やサイズが分かる場合は、次の内容と合わせて伝えてください。

伝えること

具体例

どこに問題があるか

鼻筋が痛い、右目に風が当たる、口から空気が出る

いつ起こるか

装着直後、横向きになったとき、夜中、朝起きたとき

治療への影響

痛くて途中で外す、漏れる音で何度も起きる

すでに試したこと

ベルトや位置を調整した、洗浄した、枕との接触を変えた

例えば、次のように伝えられます。

「右を下にして寝ると、マスクの上から右目に風が当たります。強く締めると鼻筋が痛くなります。サイズや形を変えた方がよいか相談したいです。」

マスクの問題で使えない状態が続く場合は、次の定期受診まで我慢せず、処方した医療機関や案内されている機器の相談窓口に連絡してください。

マスク選びは、最も小さいものや、最も強く固定できるものを探すことではありません。必要な密着を保ちながら、眠っている間に無理なく使えるものを選ぶことです。

ひさいクリニックで、睡眠時無呼吸・CPAP治療を相談する

当院でCPAP治療を受けている方は、マスクの痛み、空気漏れ、目に当たる風、途中で外してしまうことなどを、診察時にお伝えください。機器の数値だけでは分からない不快感も、具体的に伝えることが大切です。

初めて睡眠時無呼吸について相談する方には、オンライン診療と自宅での簡易検査を組み合わせた診療をご案内しています。

診察で症状を確認し、必要に応じて自宅簡易検査をご案内します。検査機器はご自宅へ郵送されます。届いた機器の説明を読み、ご自宅で装着して検査を行っていただく方法です。

予約 → オンライン診察 → 検査機器の郵送 → 自宅で検査 → 結果説明・CPAP治療の適応判断

検査後は結果をご説明し、CPAP治療の適応を判断します。検査を受けた方全員がCPAP治療を始めるわけではありません。

「いびきや呼吸停止を指摘された」「CPAPが必要か検査から相談したい」という方は、WEB予約からご相談ください。

睡眠時無呼吸の検査・CPAP治療を相談する



関連記事