検査・診断
睡眠検査結果の見方|AHI・REI・SpO₂・ODIと重症度
久井 宏真
2026/9/7
睡眠時無呼吸の検査結果では、AHI・REIなどで呼吸の異常の頻度を確認し、SpO₂やODIなどで酸素の低下を確認します。 それぞれが異なる情報を示すため、一つの数字だけで結果全体を判断するものではありません。検査方法や記録の状態、本人の症状も合わせて評価します。
「AHIが20とはどういう意味か」「最低SpO₂が低かったら危険なのか」「簡易検査と精密検査で数字が違うのはなぜか」といった疑問に答えながら、成人の睡眠時無呼吸の検査結果を読むポイントを解説します。
検査結果では、まずどの項目を見る?
最初に、受けた検査の種類と、結果票に書かれている指標の名前を確認してください。 簡易検査と、脳波なども測定するPSGでは、記録する情報や計算方法が異なります。
主な指標は、次のように整理できます。
指標 | 主に示していること |
|---|---|
AHI:無呼吸低呼吸指数 | 睡眠1時間あたりの、無呼吸と低呼吸の平均回数 |
REI:呼吸イベント指数 | 主に簡易検査で用いる、解析対象時間1時間あたりの呼吸の異常の回数 |
RDI:呼吸障害指数 | 一般的なPSGの定義では、無呼吸・低呼吸に、呼吸努力に関連する短い覚醒を加えた頻度 |
SpO₂:経皮的動脈血酸素飽和度 | センサーで推定した、血液中の酸素の状態 |
ODI:酸素飽和度低下指数 | 酸素飽和度が一定以上低下した回数を、1時間あたりで表したもの |
AHI・REI・RDI・ODIは、いずれも「1時間あたりの回数」で表示されることがありますが、数えている内容や、計算に使う時間が同じとは限りません。 数字だけを取り出して比較しないことが大切です。
AHIとは?「20」「30」は何を意味する?
AHIは、実際に眠っていた1時間あたりに、無呼吸と低呼吸が平均何回起きたかを示す数値です。 呼吸がほぼ止まる無呼吸だけでなく、空気の流れが減少する低呼吸も含みます。
計算の考え方は、次のとおりです。
AHI=無呼吸と低呼吸の合計回数 ÷ 睡眠時間
例えば、6時間の睡眠中に無呼吸・低呼吸が合計120回あれば、AHIは20です。「一晩に20回」ではなく、「睡眠1時間あたり平均20回」という意味です。
また、AHIが20という数字から、一回の無呼吸が20秒続いたとは判断できません。回数を示す指標と、一回ごとの長さは別です。
AHIによる重症度の基準
成人では、一般に次のように分類します。
AHI | 重症度の目安 |
|---|---|
5未満 | AHIの一般的な診断基準を下回る |
5以上15未満 | 軽症 |
15以上30未満 | 中等症 |
30以上 | 重症 |
AHIが20なら中等症、30なら重症に該当します。 ただし、この分類だけで治療方法がすべて決まるわけではありません。
また、AHIが5未満でも、別の睡眠障害がないことや、眠気の原因がないことまで確認されたわけではありません。症状が続く場合は、結果と合わせて相談してください。
REIとAHIは、何が違う?
主な違いは、計算に使う時間です。 AHIは睡眠時間を基にしますが、脳波を測らない一般的な簡易検査では、実際に眠っていた時間を直接判定できないため、記録時間や解析可能な時間を用いたREIなどで評価します。
例えば、計算方法だけを比較すると、同じ120回の呼吸の異常でも、
実際の睡眠時間が6時間なら、120÷6=20回/時間
解析対象時間が8時間なら、120÷8=15回/時間
となります。起きていた時間が計算に含まれることで、呼吸の異常が少なく見積もられる場合があるということです。
さらに、一般的な簡易検査では、脳波上の短い覚醒を伴う低呼吸を十分に拾えないことも、AHIとの差につながります。REIはAHIより低めに出る場合がありますが、「何倍すれば本当のAHIになる」という一定の換算式はありません。
簡易検査なのに「AHI」と書いてある場合は?
結果票にAHIと書かれていても、脳波を測定したPSGと同じ方法で算出しているとは限りません。 簡易検査で推定された値をAHIとして表示する場合もあります。
そのため、「AHIかREIか」という名前だけでなく、どの機器で、何を測定し、どの時間を使って計算したかを確認します。結果説明では、「これは脳波を測った検査の数値ですか」と尋ねても構いません。
RDIとは?AHIより高くなることがある?
一般的なPSGの定義では、RDIは、無呼吸・低呼吸に加えて、呼吸努力に関連した短い覚醒も含めた指標です。
この短い覚醒を伴う呼吸の乱れを、RERA(呼吸努力関連覚醒)と呼びます。無呼吸や低呼吸としては数えられなくても、呼吸のしにくさによって眠りが妨げられている場合を評価します。
計算上は、一般に次の関係になります。
RDI=AHI+RERA指数
そのため、RERAが多ければ、AHIよりRDIが高くなります。ただし、夜中のすべての目覚めを加えるわけではなく、呼吸に関連するものを数える指標です。
結果票のRDIが何を数えているかは、検査の説明と合わせて確認してください。AHI・REI・RDIを、単に同じ数字の別名として扱わないことが重要です。
SpO₂とは?平均値と最低値は、どう違う?
SpO₂は、指などに付けたセンサーで推定する酸素飽和度です。 多くの健康な人では95〜100%が目安ですが、持病や標高などによって異なります。これは、睡眠検査で一瞬でもその範囲を外れたら同じ重症度になる、という基準ではありません。
睡眠検査では、主に次のような情報を確認します。
結果票の項目 | 意味 |
|---|---|
平均SpO₂ | 評価した時間全体の酸素飽和度の平均 |
最低SpO₂ | 記録中に最も低くなった酸素飽和度 |
SpO₂が低い時間・割合 | 酸素飽和度が一定の値を下回っていた時間や、その割合 |
平均値だけでは、一時的に大きく下がる様子が分かりにくく、最低値だけでは、低い状態がどのくらい続いたかが分かりません。 そのため、複数の項目を合わせて確認します。
最低SpO₂が80%台だったら、危険?
低い値が記録されている場合は、見過ごさず、医師に結果を確認してもらう必要があります。 ただし、最低値一つだけで、睡眠時無呼吸の重症度や現在の緊急性までは判断できません。
パルスオキシメーターの値は、末梢の血流、皮膚の温度、マニキュアなどの影響を受けます。低い値が実際の酸素低下なのか、測定条件の影響なのかも、記録と合わせて確認します。「低いから必ず重症」「きっと測定ミスだから大丈夫」のどちらにも決めつけないことが大切です。
なお、過去の検査結果の読み方と、現在の体調への対応は別です。今、強い息苦しさや胸痛などがある場合は、結果説明の予約を待たず、速やかに医療機関へ相談してください。
T90とは?
T90は、一般に、SpO₂が90%未満になっていた時間や、その割合を示します。 結果票によって「分」で表示する場合と「%」で表示する場合があるため、単位を確認してください。
例えば、「T90が10分」と「T90が10%」は、同じ意味ではありません。また、施設や解析ソフトによって90%未満・90%以下のどちらを使うか、睡眠時間・解析対象時間のどちらを基準にするかが異なる場合があります。
最低値がどこまで下がったかに加えて、低い状態がどれだけ続いたかを見るための情報として使います。
ODIとは?「3%ODI」と「4%ODI」は何が違う?
ODIは、酸素飽和度が一定以上低下した回数を、1時間あたりで表した指標です。 無呼吸や低呼吸に伴って、酸素低下を繰り返していないかを確認する手がかりになります。
3%ODIは、酸素飽和度が基準となる値から3ポイント以上低下した回数を基にします。例えば、96%から93%への低下は3ポイントです。
4%ODIでは、4ポイント以上の低下を数えます。同じ記録でも、採用する低下幅が違えば回数は変わるため、3%ODIと4%ODIをそのまま比較しないことが重要です。
また、1時間あたりの値を計算するときに、睡眠時間を使うか、記録・解析時間を使うかでも違いが生じます。
ODIが低ければ、睡眠時無呼吸はない?
ODIが低いことだけで、睡眠時無呼吸を否定することはできません。
呼吸の異常によって眠りが妨げられていても、一定以上の酸素低下を伴わない場合があります。PSGでは、酸素低下だけでなく、脳波上の短い覚醒を伴う呼吸の異常も評価します。
したがって、ODIの数字をAHIと同じものとして扱い、ODIだけで「正常・軽症・重症」を機械的に決めないことが大切です。 何%の低下を数えた値か、ほかの呼吸の記録はどうかを合わせて確認します。
同じ人でも、検査の数字が変わることはある?
検査方法や記録された睡眠の状態によって、結果の数字が変わることがあります。
例えば、仰向けの時間が多いか、どの睡眠段階が記録されているかによって、無呼吸・低呼吸の頻度が異なる場合があります。また、センサーの信号が十分に記録できていたかも、結果の解釈に関係します。
検査中に長い時間起きていた、センサーが外れた、普段と違う寝方になったなど、気づいたことがあれば結果説明の際に伝えてください。数字が出ていることと、診断に十分な記録が取れていることは、同じではありません。
簡易検査とPSGで値が違っても、直ちにどちらかが間違っているとは限りません。測定項目と計算方法を確認して比較します。
数値が高ければ、必ずCPAPを始める?
治療の必要性は、呼吸の数値、酸素低下、症状や持病を合わせて判断します。「数字が高いから同じ治療をする」「眠くないから治療しない」と、一つの情報だけで決めるものではありません。眠気が目立たなくても、睡眠時無呼吸の治療が必要になる場合があります。
また、重症度の分類と、CPAPの保険適用条件は別に確認する必要があります。 日本の保険診療では、呼吸の指数だけでなく、自覚症状や睡眠検査に関する要件が定められており、一定の条件を満たす場合には簡易検査からCPAPにつなげられます。
結果説明では、次のように尋ねると、治療の目的を確認しやすくなります。
「私の結果では、呼吸の回数と酸素の低下は、それぞれどの程度ですか。治療が必要なのか、追加の検査が必要なのかを教えてください。」
検査結果の数字を覚えることより、その結果から何をする必要があるかを確認することが大切です。
数値が低いのに、呼吸停止や眠気が続く場合は?
簡易検査で異常が見つからなかったことだけで、睡眠時無呼吸を完全に否定できるとは限りません。
米国睡眠医学会の診断ガイドラインでは、睡眠時無呼吸を疑って実施した自宅検査が陰性・判定不能、または記録不十分だった場合に、PSGによる詳しい評価を推奨しています。
特に、家族から呼吸停止を繰り返し指摘されている、強い眠気が続くなどの場合は、その経過を伝えてください。「結果票の数字が低いから、症状にも問題はない」という意味ではありません。
一方、眠気などの原因は睡眠時無呼吸以外にもあるため、睡眠中の呼吸の評価と、ほかの原因の検討を分けて考えます。詳しい対応は、「簡易検査が正常・判定不能でも症状がある場合はどうする?」で解説します。
CPAPの画面に出るAHIも、同じ意味?
睡眠検査のAHIと、CPAP機器が表示するAHIは、測定・判定の方法が異なります。 CPAP機器の値は、主に機器が捉えた空気の流れなどから、使用中に残っている呼吸の異常を推定したものです。PSGと同じように脳波や酸素低下を組み合わせて判定しているわけではありません。
治療の経過を見るうえでは役立ちますが、使用時間、空気漏れ、症状なども合わせて確認します。治療中のAHIが低いことと、CPAPなしでも呼吸が正常になったことは別です。 数字だけを理由に、自己判断で中止や圧の変更をしないでください。
CPAPのデータについては、「CPAPデータの見方|使用時間・AHI・空気漏れの確認ポイント」で詳しく解説します。
ひさいクリニックで、睡眠時無呼吸の検査を相談する
ひさいクリニックでは、睡眠時無呼吸が疑われる方に、オンライン診療と自宅での簡易検査を組み合わせた診療をご案内しています。
診察で症状を確認し、必要に応じて自宅簡易検査をご案内します。検査機器はご自宅へ郵送されます。届いた機器の説明を読み、ご自宅で装着して検査を行っていただく方法です。
予約 → オンライン診察 → 検査機器の郵送 → 自宅で検査 → 結果説明・CPAP治療の適応判断
検査後は結果をご説明し、CPAP治療の適応を判断します。検査を受けた方全員がCPAP治療を始めるわけではありません。
「いびきや呼吸停止を指摘されている」「睡眠中の呼吸を調べたい」「検査結果を踏まえて、治療が必要か相談したい」という方は、WEB予約からご相談ください。
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