検査・診断
睡眠時無呼吸症候群の簡易検査とは?自宅でできる検査の流れ・結果の見方
久井 宏真
2026/9/5
睡眠時無呼吸症候群の簡易検査は、検査機器を自宅で装着し、睡眠中の呼吸や血液中の酸素濃度などを測定する検査です。入院する必要はなく、普段の寝室で一晩眠ることで検査できます。
一方、簡易検査ですべての睡眠障害が分かるわけではありません。結果が正常でも症状が強い場合や、重い心肺疾患などがある場合には、医療機関で行う精密検査が必要になることがあります。
睡眠時無呼吸症候群の簡易検査とは
睡眠時無呼吸症候群の簡易検査は、英語ではHome Sleep Apnea Test(HSAT)などと呼ばれます。
自宅で小型の検査機器を装着し、睡眠中に無呼吸や低呼吸が何回起きているか、血液中の酸素濃度がどの程度低下しているかなどを調べます。
大掛かりな入院検査と比べて負担が少なく、普段に近い環境で検査できることが特徴です。
ただし、問診票、いびき録音アプリ、スマートウォッチなどは、簡易検査そのものではありません。睡眠時無呼吸症候群を確定または否定するためには、医療用の検査機器による評価が必要です。
簡易検査では何を測定する?
使用する機器によって項目は異なりますが、一般的な簡易検査では次のような情報を測定します。
・鼻や口からの空気の流れ
・胸や腹部の呼吸運動
・血液中の酸素濃度(SpO2)
・脈拍数
・いびき
・睡眠中の体位
これらの情報を組み合わせ、気道が狭くなって呼吸が止まる閉塞性睡眠時無呼吸が疑われるかを評価します。
機器によっては、指先の酸素濃度センサー、鼻の下に装着する細いセンサー、胸や腹部に巻くベルト、小型の記録装置などを使用します。
装着方法が不適切だと正しく記録できないため、説明を受けたとおりに装着することが重要です。
自宅で行う簡易検査の流れ
ひさいクリニックでは、次の流れで簡易検査を行います。
1.オンライン初診を予約する
デジスマの予約サイトから、オンライン初診の日時を選択します。
2.オンライン初診を受ける
予約日時にビデオ通話で診察を行います。いびき、無呼吸の指摘、日中の眠気、持病、服薬状況などを確認し、検査が必要か判断します。
3.検査機器を受け取る
検査機器をご自宅へ郵送します。装着方法や注意点を記載した説明書を同封していますので、説明書に沿ってご使用ください。使用方法が分からない場合は、記載されている連絡先へお問い合わせください。
4.自宅で一晩検査する
就寝前にセンサーを装着し、普段どおり眠ります。検査中に痛みを伴う処置はありません。
5.検査機器を返却する
検査終了後、指定された方法で機器を返却します。記録されたデータを解析します。
6.オンライン診察で結果を確認する
結果が出たらショートメッセージでご連絡します。その後、オンライン診察をご予約いただき、無呼吸の程度や治療の必要性について説明します。CPAP治療の適応がある場合は、治療開始へ進みます。
検査当日の注意点
検査当日は、できるだけ普段に近い状態で眠ってください。
・入浴を済ませてから機器を装着する
・センサーを説明どおりの位置に装着する
・機器の電源や記録開始を確認する
・センサーが外れた場合は、可能な範囲で装着し直す
・故意に睡眠時間を増減させない
・飲酒や睡眠薬については医師の指示に従う
普段と大きく異なる過ごし方をすると、通常の睡眠状態を正しく評価できない可能性があります。
簡易検査の結果はどう見る?
結果を判断する際に中心となるのが、睡眠中の無呼吸と低呼吸の回数です。
REIまたはAHI
睡眠1時間あたりに起きた無呼吸・低呼吸の回数を示します。
一般的な重症度の目安は次のとおりです。
・5未満:正常範囲
・5以上15未満:軽症
・15以上30未満:中等症
・30以上:重症
精密検査では、実際に眠っていた時間をもとにAHIを計算します。一方、自宅での簡易検査では脳波を測定しないため、記録時間をもとにREIを計算することがあります。
結果票では便宜上「AHI」と表示される場合もありますが、簡易検査では実際の睡眠時間より長い記録時間が分母になるため、無呼吸の重症度が低めに出ることがあります。
ODI
ODIは、血液中の酸素濃度が一定以上低下した回数を示します。無呼吸や低呼吸によって酸素濃度が繰り返し低下しているかを確認する指標です。
最低酸素濃度
睡眠中にSpO2が最も低くなった値です。ただし、一時的なセンサーのずれによって異常値が出ることもあるため、この数字だけで診断することはできません。
検査結果は一つの数値だけではなく、呼吸波形、酸素濃度、症状、基礎疾患などを含めて医師が総合的に判断します。
簡易検査で異常がなければ大丈夫?
簡易検査で異常が出なかった場合でも、睡眠時無呼吸症候群を完全には否定できません。
簡易検査では脳波を測定しないため、実際に眠っていた時間が分かりません。また、センサーの外れ、普段より短い睡眠、無呼吸が少ない夜に検査したことなどによって、重症度が低く評価される可能性があります。
家族から明らかな無呼吸を指摘されている、日中の眠気が強い、簡易検査の記録が不十分だったといった場合には、再検査や精密検査を検討します。
AASMの診療ガイドラインでも、簡易検査が陰性、不明確または技術的に不十分であり、睡眠時無呼吸が疑われる場合には、PSGによる評価が推奨されています。
簡易検査と精密検査(PSG)の違い
簡易検査は、自宅で実施できる負担の少ない検査です。主に呼吸、酸素濃度、脈拍などを測定します。
精密検査であるPSGでは、呼吸や酸素濃度に加えて、脳波、眼球運動、筋電図なども記録します。実際に眠っていた時間や睡眠の深さ、覚醒反応、ほかの睡眠障害について、より詳しく評価できます。
重い心肺疾患、神経筋疾患、覚醒時の低換気、慢性的なオピオイド使用、脳卒中の既往、強い不眠症などがある場合は、簡易検査よりPSGが適することがあります。
どちらの検査を選ぶかは、症状や持病を確認したうえで判断します。
よくある質問
簡易検査は痛いですか?
採血や注射はありません。鼻、指、胸部などにセンサーを装着して眠ります。多少の違和感を感じることはありますが、通常は痛みを伴いません。
一人暮らしでも検査できますか?
できます。装着方法の説明を受け、ご自身でセンサーを装着して検査します。
検査中にトイレへ行けますか?
基本的には可能です。機器によって取り扱いが異なるため、事前の説明に従ってください。
センサーが外れたらどうすればよいですか?
気づいた時点で、説明された位置へ装着し直してください。記録が不十分だった場合は、再検査が必要になることがあります。
スマートウォッチの結果を持参してもよいですか?
参考情報にはなります。ただし、スマートウォッチの結果だけで睡眠時無呼吸症候群を診断することはできません。
簡易検査だけでCPAPを開始できますか?
検査結果、症状、重症度、保険診療上の基準などによって異なります。簡易検査の結果で判断できる場合もあれば、追加の精密検査が必要になる場合もあります。
自宅での簡易検査をご希望の方へ
ひさいクリニックでは、オンライン初診後、検査機器をご自宅へ郵送し、同封した説明書に沿って装着していただきます。
検査結果もオンライン診察で説明するため、検査のために医療機関へ何度も通う必要はありません。
いびき、睡眠中の無呼吸、朝の頭痛、日中の眠気などが気になる方は、オンライン初診をご予約ください。
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執筆・監修:久井宏真 医師
ひさいクリニック院長
本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。検査の適否や結果については医師へご相談ください。
参考資料
・American Academy of Sleep Medicine:成人閉塞性睡眠時無呼吸の診断検査ガイドライン
・日本循環器学会「2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」
・J-STAGE「睡眠時無呼吸症候群の診断―在宅検査を含めて」